私という命は、何人のご先祖さまにつながっているのでしょうか〜阿字の子が 阿字のふるさと立ち出でて また立ち帰る 阿字のふるさと〜

お盆

ご先祖さまは何人いるのでしょうか?
お盆になると、「ご先祖さまに感謝しましょう」と耳にすることが多くなります。
しかし、皆さんは「自分には一体何人のご先祖さまがいるのだろう」と考えたことはございますか?


仮に一世代を約25年として考えると、10代さかのぼるだけで約250年前、江戸時代になります。
親は2人、祖父母は4人、曾祖父母は8人…。
このように一世代ごとに人数は倍になっていきます。
そのため、10代前までのご先祖さまを合計すると、
2+4+8+16+32+64+128+256+512+1024=2,046人
になります。
もちろん、実際には親族同士の婚姻などによって同じ人物が重複するため、実人数はこれより少なくなります。
それでも、「私」という一つの命が、数え切れないほど多くの命のつながりによって受け継がれてきたことに変わりはありません。

「○○家先祖代々」と「私の命のルーツ」
お仏壇には「○○家先祖代々」と書かれたお位牌が祀られていることがあります。
これは、日本で受け継がれてきた家の供養の形であり、その家のご先祖さまをお祀りするものです。
しかし、「私の命のルーツ」を考えるならば、父方だけではありません。
私の命は、父方・母方を問わず、すべてのご先祖さまから受け継がれています。
だからこそ、「私の命のルーツ」に思いを巡らせるときには、父方・母方という区別を超えて、すべてのご先祖さまへの感謝が自然と湧いてきます。

回向は、ご縁あるすべての命へ
法要では、回向(えこう)の際に、新しく亡くなられた仏さまのお戒名をお唱えし、お位牌にお祀りしている歴代の仏さまのお戒名を読み上げます。
そして、個人としてのお祀りを終えた仏さまは、「○○家先祖代々」としてご供養いたします。
さらに、「有縁無縁一切聖霊」とお唱えします。
私はこの言葉をお唱えするとき、お位牌にお祀りされているご先祖さまだけではなく、私という命につながるすべてのご先祖さま、名前の分からなくなった方々、さらには直接の血縁ではなくても、人生のどこかでご縁を結んでくださったすべての仏さまに思いを向けながらお勤めしています。
供養とは、名前の残っている方だけのために行うものではありません。
ご縁あるすべての命に、感謝を捧げる営みでもあるのです。

ご先祖さまは、やがて神様になるという考え方
昔の日本には、ご先祖さまは三十三回忌や五十回忌を迎える頃には個人としての霊を離れ、「祖霊」となって子孫を見守る存在になるという考え方が広く見られました。
地域によっては、お仏壇だけではなく神棚でも祖霊をお祀りする習慣があり、ご先祖さまはやがて地域を見守る神様へとつながっていく、と考えられてきました。
「氏神」という言葉も、もともとは同じ血縁の集まりである「氏」が祀る神様に由来するという説があります。
昔の村では、同じ地域に暮らす人々の多くが親戚や同じ一族という意識を持っていました。
そのため、「家の最も古いご先祖さま」と「地域を守る氏神さま」は、決して遠く離れた存在ではなく、つながりのあるものとして受け止められていたのでしょう。
また、日本には、亡くなった人の魂は山へ帰り、清められて神様となるという山岳信仰・祖霊信仰も伝えられています。
春には山から里へ下りて田の神として人々を見守り、秋には再び山へ帰る――。
こうした信仰は、日本人がご先祖さまと自然、そして神様とのつながりを大切にしてきたことを物語っています。


そのように考えると、お盆でご先祖さまを「お迎え」し、「おまつり」し、そして「あの世へお送りする」という営みと、夏祭りなどで神様を「お迎え」し、「おまつり」し、「お送りする」神事との間に、どこか共通した構造が見られるのも、不思議なことではないように思えます。
もちろん、地域によって信仰や風習はさまざまであり、すべてが同じであったわけではありません。
しかし、日本人は古くから、ご先祖さまと神様を決して切り離して考えてはいなかったのでしょう。

すべての命は、大日如来へ
真言宗には、弘法大師空海が詠まれたと伝えられる歌があります。


阿字の子が
阿字のふるさと立ち出でて
また立ち帰る
阿字のふるさと

阿字は大日如来をあらわしています。
私たちは、大日如来という大いなる命の中からこの世に生まれ、人生を歩み、そして再びその大いなる命へと帰っていく。


私はこの歌を思いながら、ご先祖さま一人ひとりのお姿を大日如来さまのお姿に重ね合わせ、静かに手を合わせています。

おわりに
お盆とは、ご先祖さまをお迎えして亡き人を偲ぶ日であると同時に、自分という命が、数え切れないほど多くのご先祖さまと、さまざまなご縁によって支えられていることを見つめ直す日でもあると思います。
どうぞ今年のお盆は、ご先祖さまへの感謝とともに、自分という命のつながりにも思いを巡らせながら、ゆっくりと手を合わせてみてはいかがでしょうか。

合掌

ここまでブログを読んでくださりありがとうございます。よろしければコメント欄で感想をお聞かせください。

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