前回は、「お盆のお飾りは、いつから始めればよいのでしょうか」というテーマで、お飾りを始める時期や、精霊棚・お仏壇の役割についてお話ししました。
今回は、そのお飾り一つひとつに込められた意味について、一緒に考えてみたいと思います。
お盆のお飾りには、地域によってさまざまな形があります。
精霊棚を設ける地域。
お仏壇を中心におまつりする地域。
提灯の飾り方も、お供えするものも、それぞれ違います。
だからこそ、
「これが唯一正しいお盆のお飾りです。」
という形はありません。
日本各地で、それぞれの土地の暮らしや文化の中から育まれてきたものだからです。
【故人が好きだったものをお供えする】
「お盆には何をお供えすればよいのでしょうか。」
このご質問もよくいただきます。
もちろん、季節の果物やお菓子、お花などをお供えするご家庭が多いでしょう。
けれど私は、
故人が好きだったものをお供えすることも、とても温かいご供養だと思っています。
「今年も大好きだったお饅頭を買ってきたよ。」
「一緒にお茶を飲もう。」
そんな気持ちでお供えし、その後、ご家族も一緒にいただく。
それは、ご先祖さまや亡き方とともに食卓を囲む、お盆らしい時間なのではないでしょうか。
【キュウリの馬とナスの牛】
お盆のお飾りとしてよく知られているものに、
キュウリの馬とナスの牛があります。
「早く帰って来てほしいから馬に乗って。」
「帰りはゆっくり名残を惜しみながら牛に乗って。」
そのような願いが込められていると伝えられています。
もちろん、これも地域によって解釈や風習には違いがあります。
最近では、
「おじいちゃんは車が好きだったから。」
「飛行機で帰って来てもらおう。」
そんな思いから、おもちゃの自動車や電車、飛行機を飾るご家庭もあるそうです。
私は、それも素敵なお盆の姿だと思っています。
昔の人が馬や牛に願いを託したように、
現代の私たちが、その時代らしい乗り物に思いを込める。
形は変わっても、
ご先祖さまを想う心は、昔と変わらないのではないでしょうか。
【迎え火と送り火】
私が、お盆のお飾りの中でも特に大切にしていただきたいと思っているのが、
迎え火と送り火です。
昔は、お盆の夕方になると家の前で火を焚き、
その灯りを目印にご先祖さまをお迎えしました。
そして、お盆の終わりには再び火を灯し、
感謝の心を込めてお送りしました。
しかし現在では、
住宅事情や防火上の理由から、
昔と同じように火を焚くことが難しいご家庭も少なくありません。
そのような場合は、
玄関先や玄関の内側で、小さなろうそくを灯して手を合わせるだけでもよいでしょう。
本物のろうそくが難しければ、
電池式や電気式の灯りでも構わないと私は思います。
大切なのは、
「ご先祖さまをお迎えするための特別な明かりを灯す。」
という心です。
日常の照明とは違う、
お迎えのための灯り。
その意味を大切に受け継いでいただければと思います。
【家族みんなで迎えるお盆】
環境が許すのであれば、
ご家族で手持ち花火を楽しむのも、一つの方法かもしれません。
「今日は、ご先祖さまをお迎えする日なんだよ。」
そんな話をしながら灯りを囲む。
そして、お盆の終わりには、
「今年も帰って来てくれてありがとう。」
「また来年も待っています。」
そう言ってお送りする。
子どもたちにとっても、
お盆を楽しい思い出として受け継いでいくきっかけになるのではないでしょうか。
もちろん、花火は禁止されている場所もありますので、地域のルールを守り、安全を第一に考えてください。
【形よりも、大切なもの】
お盆のお飾りには、
地域差があります。
精霊棚も、
提灯も、
キュウリの馬も、
ナスの牛も、
迎え火や送り火も、
それぞれに受け継がれてきた意味があります。
しかし、
私は、
「形が大切なのではなく、その形に込められた心が大切なのだ。」
と思っています。
「今年はどのようにご先祖さまをお迎えしよう。」
ご家族でそう話し合い、
亡き方の好きだったものを思い出し、
思い出話に花が咲き、
笑顔が生まれる。
その時間こそが、お盆という行事の一番の宝物なのではないでしょうか。
正しい形を探すことよりも、
ご先祖さまを想い、
「おかえりなさい。」
と心を込めてお迎えすること。
そして、
「また来年もお待ちしています。」
と感謝を込めてお送りすること。
私は、その心が受け継がれていくことこそ、お盆で最も大切なことだと思っています。
合掌



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